労務管理・働き方改革
働き方改革
働き方改革
企業においては、《働き方改革》に関する対策の導入が急務です。当事務所では、企業の皆様が押さえておくべき、《働き方改革》に関するアドバイスを実施しております。
まずは、お気軽にご相談いただければ幸いです。
労務管理の重要性
企業活動を行うためには、従業員をはじめ多数の「ヒト」を活用することが必須です。
そして、これら「ヒト」の活用が成功したときに、企業活動が成功するといっても過言ではありません。これは、企業が、会社形態であっても、個人事業主であっても同様です。そのため、労務管理は、企業の維持存続、発展のために不可欠なものなのです。
ところが、実際には、多くの企業において、労務管理の重要性があまり意識されておらず、労働関係諸法令をあまりよく理解せずにこれまで過ごしており、残念なことに、紛争が深刻化して初めて問題に気付き、弁護士事務所へこられるケースが多いように思われます。
そのような場合でも、適切な対処により、事後的な解決ができないこともありませんが、弁護士からしてみると、「事前にご相談いただけたらここまで大きな問題にならなかったのに・・・」と思うことが多々あります。
では、企業はどうようにして労務管理をしていけばよいのでしょうか。
その答えは、一言でいうと、コンプライアンスということだと思います。
もともと、それぞれの企業の中や業界の中の風習や慣行にしたがって、労務管理を行っているところが多いと思いますが、 やはり当然のことながら、労働基準法等の労使間に関する法的規制を遵守することが必要なのです。
とすれば、当然、企業経営者はや労務担当者は、労働基準法等の関係諸法令をある程度理解している必要があります。
特に、労働関係の法律は、後述のように、政策的な理由から改正が繰り返されていますし、法律に記載されていない部分の解釈に関する判例が多数存在しますので、それらについても随時カバーしていくことが重要です。
というのも、労働関係の法律や判例は、比較的労働者に有利に定められたり、判断される傾向にありますので、事前に対策を講じていなければ、企業経営者サイドのには予想外の結論が生じるなどの落とし穴があるからです。
また、いくら企業経営者の主張が法的に正当でも、裁判等になった場合には、証拠により証明できなければ、結局負けてしまうことになります。したがって、普段から、法令を遵守する同時に、それらを適宜文書化して、いざとなったときに備えておく必要があります。
例えば、懲戒処分に関していえば、事前に懲戒処分に関する関係諸法令、判例を精査し、社内の手続、法律等にしたがって、適切なプロセスが実現できるように、普段から準備しておくことが重要です。 というのも、懲戒処分については、労働者サイドにも相当問題があるにもかかわらず、企業が行った懲戒手続が不適切だったために、懲戒処分が違法となることも珍しくないからです。企業としては、ここで日頃の労務管理不足の大きなつけを払わされることになります。
しかも、この問題は、懲戒解雇や減給などの、処分が大きい場合に問題が顕在化し、しばしば大きな紛争に発展します。
そのような最悪の事態をできるだけ避けるために、企業としては、適法な懲戒処分手続を実施するとともに、その証拠化も徹底する必要があります。例えば、次のようなプロセスが考えられます。
懲戒処分を適法に行うための一例
- 日頃から懲戒処分手続の明確な基準を策定する。
- 労働者の問題行動について十分に調査する。
特に、その問題行動が中立的、客観的な証拠に裏付けられているかを確認する。 - 労働者の行為と懲戒処分の重さが比例しているか検討する。
- いきなり重い処分を与えるのではなく、最初は軽い処分にとどめ、労働者に改善の機会を与える。
それでも改善されないようであれば、随時重い処分を行う。 - 処分対象となる労働者に十分な弁解の機会を与える。
その経過は証拠化する(議事録等の作成)。 - 懲戒処分の発動
当事務所では、労務管理に関するご相談をお承りしております。
また、適切な労務管理を実現するための各種社内規程作成や労務管理セミナー、最新改正法令セミナーもお承りしております。
なお、継続的な労務管理サポートをご希望の皆様には、顧問契約をおすすめしております。
労務管理の内容
労務管理の内容は多岐に渡りますが、弁護士事務所には概ね次の分野の各種ご相談がよせられており、企業においては、それらに関する対策、対処を行う必要があるといえます。
- 採用等に関するご相談
- 賃金・退職金に関するご相談
- 就業規則・服務規律に関するご相談
- セクハラ・いじめ等に関するご相談
- 出向・配置転換等に関するご相談
- パートタイム労働者に関するご相談
- 派遣労働者に関するご相談
- 退職に関するご相談
- 解雇に関するご相談
- 労働組合に関するご相談
- 就業規則に関するご相談
弁護士にご相談下さい。
当事務所では、これら各種労務管理に関するご相談をお承りしております。
メンタルヘルスって何?
最近、メンタルヘルス(こころの健康)という言葉をよく耳にします。
企業間競争の激化、成果主義の導入など、職場環境を巡る様々な理由から、労働者のストレスは高まっており、労働者がストレスをため込んで起こす心の健康度の低下は、著しいものがあります。
その結果、労働者の作業効率が著しく低下したり、最悪に場合には、休業、自殺などの深刻な問題を引き起こしかねません。
このように、職場のメンタルヘルスの問題は、労働者個人のみならず、企業全体の効率性や生産性にも影響を及ぼすもので、職場における健康の保持増進対策は、労働安全衛生法でもうたわれております。
企業としては、このメンタルヘルスの問題にも適切に取り組んでいくべきであり、例えば、サービス残業はもとより、残業代を支払っていたとしても長時間労働を放置していた場合には、労働者の健康被害について、安全配慮義務違反を問われ、多額の損害賠償責任を負担させられることがあります。また、民事責任にとどまらず、行政、刑事責任を問われる可能性もあります。
特に、労働者の病気を理由とした配置転換、降格、退職勧奨、解雇等については、注意して実施しなければ、あとで、企業サイドが思わぬ責任を追及されるおそれがあります。
企業が行うべきメンタルヘルス対策の一例としては、次のようなものが考えられます。
- メンタルヘルスに関する企業の安全配慮義務の洗い出しとその対策
- 長時間労働の軽減対策
・過労死、サービス残業対策 - メンタルヘルス不全者に対する対策
・休職制度、復職支援 - 労働者一般の健康管理に関する対策
・健康診断等の適切な実施
・通達、ガイドライン等の遵守(例えばVDTガイドラインなど)
・安全衛生教育 - 職場環境の整備に関する対策
・セクシャル・ハラスメント 、パワー・ハラスメント対策
弁護士にご相談下さい。
当事務所では、メンタルスに関するご相談をお承りしております。
参考情報
- 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(厚生労働省・平成18年3月31日)
偽装請負って何?
最近、労働者派遣法の規制をのがれるために、請負の形態をとった労働者派遣(偽装請負)が、特にIT関連業界で問題となっています。
決して、偽装請負のつもりでなくとも、結果的に偽装請負と言われても仕方がないケースも見られ、事前の対策が必要です。
請負と派遣の根本的な違いは、業務に従事する際の指揮命令系統にあり、その指揮命令が誰から発せられるかが、両者の区別のポイントになります。
この指揮命令を発注元が請負会社の労働者に直接行う場合は、これは請負ではなく、労働者供給事業に該当し、労働者派遣法に従っていない場合には違法となり、罰則(職業安定法違反、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)があります。また、偽装請負の場合には、労働災害の責任を誰が負うのかという深刻な問題も起きえますので、注意が必要です。
【請負】 OK!
請負契約
請負会社 ・・・・・・・・・ 発注元
↓ 雇用契約+指揮命令
労働者 ⇒ 発注元で勤務
【偽装請負】労働者供給にあたり違法!
請負契約
請負会社 ・・・・・・・・・ 発注元
↓ 雇用契約 ↓指揮命令
労働者 ⇒ 発注元で勤務
偽装請負を防止するための対策
偽装請負を防止するための対策としては、次のようなものが考えられます。
請負契約を詳細にする。
IT関連の業務では、事前に設計内容を詰めたつもりでも作業の進捗に応じて変更が生じることもよく見られます。その場合に、発注元が請負会社の労働者に直接変更の指示命令を行うことはできません。そのため、当初の請負契約において、仕様書等を詳細に定め、変更が生じた場合の手続も明確にしておく必要があります。
就業場所に注意する。
請負会社の労働者が、発注元の会社へ出張して作業を行うこともありますが、その際には、請負会社の労働者が発注元の指示命令に従っているわけではないことが客観的に分かるような机の配置等にしておく必要があります。
つまり、発注元の従業員も請負会社の労働者も混在した状態で作業に従事していた場合、独立性が否定されてしまうおそれがあります。
発注元の行う技術指導にも注意する。
発注元が行う技術指導が、限度を超し、指示命令に達しないように注意する必要場あります。
弁護士にご相談下さい。
当事務所では、偽装請負に関するご相談をお承りしております。
労働問題に関する参考裁判例はこちら
・東京地裁平成19年1月26日判決(判タ1274-193)…元従業員が元勤務先を退職する際に、顧客情報を無断で持ち出し、転職後、転職先会社の事業の執行として、上記顧客情報を利用して顧客に勧誘等のメールを送信したケースについて、元従業員については元勤務先に対する不法行為が、転職先会社については使用者責任が成立するとして150万円の損害賠償請求が認められた事例。
- 最高裁平成19年10月19日判決(「労働時間」の考え方)
- 最高裁平成20年3月27日判決(過失相殺の適用)
- 東京地裁平成20年1月28日判決(マクドナルド判決、判タ1262-221、労判953-10、NBL882-22)
- 労働事件裁判例検索